核心に迫る夜
ポン太さんの誕生日当日。
うちに招待するのは夜ご飯と決めていたので、この日はあいにくの雨でしたが、昼間の間は今日も洋服改造計画を実施。
ザーザー降りなのに傘を持って来ていなかったナゾな男ポン太を見計らい、相合傘でメイン通りを歩く私たち。
ピタッとくっついて歩かないとお互いの肩がびしょ濡れになることをいいことに初めてポン太さんに急接近した私は、ものの試しに傘を持つポン太さんの肘をちょこっと掴んでみました。
何か言われるかなと思い、彼の反応を見たくてやってみたのですが、
全く動揺することもなければ、なんの反応も示さないポン太さん。
やっぱり彼は私のことをなんとも思っていないのか。それとも恥ずかしくて何も言葉が出てこないのか。
うーん。わからない。この小悪魔作戦は何の答えも生み出しませんでした。
いつも通り彼の洋服を選んであげた後、特にやることもなくなったので前々からポン太さんが行きたいと言っていた足つぼに行くことに。
中国人が経営している激安の足つぼに行くと、私の担当は中国人のお兄さんで、ポン太さんの担当はなんと日本人の若いお姉さんでした。
足つぼなので、なんの仕切りもないソファ席にポン太さんと隣同士に座り、日本人の若い女の子に当たって鼻の下が伸びているポン太さんは嬉しそうに日本語で(大声で)会話を始めました。
・・・なんだろう。
聞いててとてもイライラする・・・。
この時の私の感情は様々な気持ちが複雑に絡み合っている感情で、
まずポン太さんが初対面の人にもフレンドリーに話せるのは十分知っていましたが、馴れ馴れしくタメ口で、しかもプライベートなことを不躾に質問する感じが聞いていて正直気持ち悪いと感じたのが一つ。
この人は女の子だったら誰にでも仲良くするだろうからやっぱり私もそのうちの一人なんだろうなぁとも感じ、寂しくもなりました。
そして私の目の前で他の女の子とこんなにデレデレ嬉しそうに話していて気分が悪かったのも事実。
どう考えても自分がやきもちを焼いている事が判明し、自分はやっぱりポン太さんのことが好きなのかもしれないと思わぬところで再確認。
隣で目をつぶり、あなた方の会話聞こえてません、と足つぼを堪能しているフリを通し続けた私は内心イライラ、モヤモヤ、ドキドキ。
”好きだけど。嫌だな、この人”
というなんとも言えない複雑な気持ちのまま足つぼは終了。
その後は誕生日のお祝いにお酒を大量購入し、ついにポン太さんをうちに招き入れる時間に。
前日に掃除した甲斐あってか、私の家を褒めまくってくれるポン太さん。
前夜に作っておいた前菜でおもてなしを開始し、メインの料理を始める私。
前菜をうまいうまいと食べてくれるポン太さんに、ありがとよ、と思いながらもさっきの足つぼ事件を引きずっていた私はどうもテンションが戻せない。
そんな私のテンションを察し、
「え、なんか、テンション低くない?大丈夫?」
と聞いて来た彼に、迷いましたが思い切ってさっき思ったことを伝えてみることに。
「ポン太くんって初めて会った女の子にいつもああいう感じなの?なんかちょっとやだった。」
と言うと
あたふたと
「え!だめ?あ、そっかー。ごめん、気をつけるわー。」
と意味のわからない返答。
しかしさすがに私がやきもちを焼いたことも察したらしく、
「俺いつもくだらない話しかしないで、自分たちのことちゃんと話したことなかったよね?ちょっと隣座って。ちゃんと話そう!」
やっと話せる機会が巡って来ました。
自分で決めた、ポン太さんの誕生日までに決着をつけるこの瞬間がついにやって来ました。
つづく。