カナダでの結婚事情
無事にウェディングフォトシュートが終わり、ホッとしたのも束の間、今度は実際本当に結婚するかどうかの話し合いが始まりました。
私は前々から”結婚”することを推し進めていたのですが、私たちが住んでいるカナダでは”コモンロー”と言うステイタス、いわゆる”内縁”の関係も正式に結婚しているカップルとほぼ同じ権利が認められています。
例えば旦那さんの会社の福利厚生(専門医病院や歯医者などの治療費がカバーされる保険や、子供が生まれた時に取れる産休、退職後の金銭的支援など)を配偶者として受ける権利があります。
このコモンローとは交際しているカップルが一年以上同じ住所に住んでいることを証明すれば認められるのですが、二人の間に子供がいる場合は一年間の同棲がなくてもコモンローカップルとして認められます。
つまり私とポン太くんは同棲してまだ半年ですが、私たちの間に子供がいるので、あと半年一緒に住まなくてももうコモンローカップルになっている、ということです。
カナダではこのコモンローが珍しいことではなく、宗教上の問題や結婚への煩わしさなどの理由で結婚はしないで子供が生まれた後もずっとコモンローのままのカップルがたくさんいます。
カナダでは(というか日本以外では)結婚してもどちらかが名字を変える必要がないので、本当に結婚しているカップルなのかコモンローなのかは本人たちに聞かない側から見ただけでは全くわかりません。
ポン太くんはこの”コモンローの状態”でいいのではないか、と私に提案してきていました。
その理由が”万が一離婚した時の煩わしさ”を考えて、です。
カナダでは日本と違って紙切れ一枚で結婚や離婚ができるわけではなく、
特に離婚は二人の間で「離婚しよう」とまとまったところですぐに離婚できません。
まずしばらくの間(状況によりますが2ヶ月から1年以上)別居をし、それを証明するプロセスや、結婚後に二人で築き上げた資産をきっかり半分半分にする手続き(これも法で決まっていて、片方が大金を稼いでいたとしても50/50)、二人の間に子供がいたら親権が決まっていても片親が子供を連れてどこかへ行く場合(引っ越しでも旅行でもです)は相手の同意書が必要などなど・・
とにかく離婚する場合は恐ろしくめんどくさいらしいのです。
実際私のお友達も前の旦那さんとの間に子供が一人いる状態で離婚しようとしているのですが、いろいろなことが同意に至らないらしく、数年経った今も正式に離婚できていません・・・。
ポン太くん側もそういう事情を知っているので「そんなに結婚・・したい?」と懐疑的になっているのです。
結婚する前から離婚のことを考える、というのは気持ちいいものではないし、なかなかリアリティーに欠けることではありますが、実際に結婚してきた人々もまさか自分たちが離婚すると思って結婚したわけではないでしょうに・・。
この話し合いが始まった段階で、別に結婚しなくてもいいと本心では思っているポン太くんの気持ちも見え隠れしたし、私だけが結婚したい!と主張したところでそれは独りよがりでなんか違うし・・とどちらかというとコモンローの線でいくことが濃厚になってきていました。
実はこの話し合いの前に5月下旬の私の誕生日の日に結婚しよう、という話がまとまっていました。
というのも今年は州から旅行に関する規制が出ていて、いつも自分の誕生日にはプチ旅行に行ったり遠出したり何かしら特別なことをしていたのですが、今年は自分が住んでいるエリアから出ちゃいけないという御触れが出ていたので、どう考えても旅行にはいけない・・=・・やることない・・=この日に結婚するのはどうだろう?
といった流れです。
しかしコモンローが濃厚になってきた今、その誕生日結婚プランも宙ぶらりんで何も準備できないままでいました。
誕生日まであと10日というところで、私の仕事のお客さんの”なんでも知っている64歳のおじさん”にこの悩みについて相談してみました。
主に相談したのは結婚した場合の離婚のめんどくささについて。
おじさんから返ってきた答えは予想外のものでした。
つづく。